以前にも買いたことのある隣のおじさんとこのネコの話です。
この4月いっぱいでおじさんは倉庫から退去しなければならなくなりました。
おじさんは事業に失敗したらしく、自己破産をして一文無しのところをどういう関係かはしりませんが、倉庫の持ち主が一時的に住まいを提供してくれたのです。
そこに住み始めてひと月位したころから野良猫が毎日来るようになって、おじさんが餌をあげはじめました。
お好み焼きが一番安くつくからと、自分の食事をねこに与えていました。
わたしも2匹の猫たちと暮らしておりますので、人間のえさは与えないほうがよいのでは?と助言をしたところ、以後はペットフードを購入して与えていました。
電気、水道などの光熱費は無料ですし、家賃も無料で住まわせてくれているので、新聞配達の仕事のみで生活はできているみたいです。
ようやくお金もたまってきたので、免許を取りに行って取得した矢先のことですが、退去の通告を受けたようです。
1か月かけて次の住まいを探していましたが、年齢が70歳のせいかどうかはわかりませんが、なかなか住まいが見つからずとうとう期限が来てしまいました。
自分の身柄はなんとか知人の職場の片隅に一か月という約束で確保できたとのことでした。
ですが、「ねこ」はダメだということでした。
午前中に、わずかではあるけれど荷物を知人のトラックではこびだし、ねこはそばで座って様子をながめていました。
作業につかれたおじさんは倉庫の床で、のこしてあった布団でひとねむり。
いつもの寝場所にはふとんはなく、なんでこんなとこでねてるんだ?といわんばかりの「ねこ」が寝ているおじさんの顔をながめております。
しばらくして覗きに行くと、おじさんはまだ眠っており「ねこ」は、そのあしもとで一緒にねむっております。
なんとも切なくて。
「あいぼうやから」「なかまやから」一緒につれていきたいねん。といっていたおじさん。
わたしに相談があるとのことでしたが、おじさんは起きそうにもなかったので、会わずに帰ってきてしまいました。
残念ながら我が家であずかることもできませんし、どうすることもできません。
なので近くの保護ネコセンターの住所と電話番号のメモをおいておきました。
1か月だけならあずかってくれるかも。なにか良い方法を教えてくれるかも。とおもいまして。
「ねこ」は目やにがたくさんでていて、涙もでています。
きっと病気であるには違いないのですが、おじさんには連れていくこともできませんし私は余計な助言もできませんでした。
おじさんが飼っているといっても室内飼いではないですし、時々どこかへ散歩にでていますし。
コロナ渦で私も補助金を申請しなければならない経済状況なので、「ねこ」を病院につれていくこともできません。
「ねこ」は、生きるために自分にとって安心な動物のそばで共存しているにすぎないわけで、「ねこ」のわなにはまったおじさんは、「ねこ」なしで生きるのがさみしくなってしまったのですよね。
「ねこ」はおそらくおじさんがいなくなったら、また別のすみごこちの良い場所をさがすのでしょうね。
おじさんの「ねこ」への想いとはうらはらに、「ねこ」は「ちっ! どっかへいきやがった!」ってふうに思っていれば気持ちは救われるのだけれど。
いやいや、おじさんがきちんと「保護ネコセンター」に連れてってくれるのが一番よいのです。
ゴールデンウイークに入ってしまったので、様子をうかがうこともできませんが、心苦しい休みに突入してしまいました。